学術上における抗菌、抗ウィルス効果のある精油の活用法

新型コロナウィルスの流行に伴い、ハーブやアロマオイル(精油)の抗菌、抗ウィルス効果について改めてご紹介します。

私は医療従事者の立場にはないので、完全な予防法をお伝えすることは難しいですが、アロマセラピストの仕事に関わりながら、3人の子供を育てている母親としては、感染症が流行する季節は家族の体調管理において、精油が助けてくれています。それについて、やはり下記で紹介する「精油の効果効能」「植物としての役割」について、日々触れていることで知識はあることが助けになっていることは事実です。

通常、アロマテラピーの効果効能が記されている書籍にしっかりと記載があるのでそちらで確認いただければとも思いますが、アロマオイル(精油)については、植物なので漢方薬の様に体に合う合わないがどうしてもあります。香りの好みもありますので、書面通りに活用が難しい場合もありますので、こちらの記事も参考にして頂き、自分に適したアロマオイル(精油)を健康管理に役立てていただければ嬉しいです。

 

私が風邪予防において実践している大事なこと

◆手を洗う事→感染症は70%は手から感染すると娘が小さい頃の小児科の先生にご教示いただいたことをずっと励行しています。何よりも「手洗い」なのだとか。手を汚しても必ず、洗う。洗えない時は、除菌ジェルやシートでキレイにすることを気を付けています。ティートリーやユーカリが含まれたハンドソープなども売っていますので、それらを活用するのも良いでしょう。

◆拭き掃除をすること→人が触るもので気になるものは、拭きます。家においては、なるべく拭き掃除に注意するようにしています。家では、洗い桶に3滴程度のユーカリを垂らし、それで雑巾をあらって、拭き掃除をします。香りも広がり、スッキリします。汚れ落ちも良いので、もうかれこれ15年励行しているアロマ家事の基本です。

◆睡眠不足にならないこと→これは「免疫力を下げない」ことが目的です。人は20時~深夜2時の間のゴールデンタイムに免疫細胞が増えると言われています。感染症の予防に気を付けたい季節は、このゴールデンタイムになるべく就寝できるよう心掛けるようにしています。なかなか現代生活では難しいですが、心がけることは大切だと思っています。夕食後に入浴して、バスタブでしっかりとカラダを温めて眠ることも免疫力を高めてくれるそうです。

 

メディカルケアとしてアロマオイル(精油)を活用する場合の注意点


精油には皮膚に対しての効果や心に対しての効果など、それぞれにたくさんの効果効能が存在します。そして、実は精油全般には何かしら抗菌、抗ウィルス効果となるような成分が含まれていることが多いと言われています。

しかし精油は植物から抽出されたものなので、「植物そのものの特徴」というものを把握する必要があります。書籍においては、植物が持っている効果効能についてが、たくさん列記しているので、同じ抗菌効果のあるものがたくさんピックアップされてしまい、結論どれが適しているのか判断が難しいことが多いです。そこから、どれが適しているかを選別するために、必要になるのが植物そのものには役割です。

アロマオイル(精油)は植物なので、「得意、不得意」があります。「得意 不得意」を選択違いしてしまうと思うように効果が感じられない場合があると私は感じています。
よって、ある程度は「学術上の精油の効果」について知って頂き、「植物そのものの特徴」を踏まえて目的に沿った精油をピックアップすることを意識していただくことが、自分に適した精油を選択できるようになるためのポイントだと考えます。

上記を踏まえまして、下記、私が生活において感染所予防に役立てているアロマオイル(精油)を6本ピックアップして紹介します。これらは、防災グッズとして備えると便利ではないかと考えているものです。東日本大震災後、ワーキングマザースタイルというサイトにコラムとして紹介したことがあります。幸い避難経験なく来ておりますので、どのくらいお役に立てるのかは実証してはいませんが、度重なる災害時において、アロマセラピストの方のボランティア経験談からも、お役に立つアイテムであると感じています。

メディカルケアとして忘れてはならないのは「精油の質」です。アロマテラピー用として認定を受けているオーガニック栽培の消費期限内のものを必ず活用しましょう。アロマオイル(精油)は揮発性のある物質なので、効果効能を意識する場合は新しいものに越したことはないと私は考えています。
 

感染症予防に役立つ使いやすい6本の精油の効果効能について

日常生活に私が使いやすく活用しているということ、紹介する下記のアロマオイル(精油)について、学術上における抗菌、抗ウィルス効果を参考にして、私自身が感染症予防に活用している術を説明していますので、その点、ご了承ください。より詳細の効果効能を知りたい場合は、下記紹介している文献などを参考にしてください。
 

ティートリー

ティートリー

■ティートリー
学名 Melaleuca alternifolia
科名 フトモモ科
精油を抽出する部分 葉
精油の抽出方法 水蒸気蒸留法
原産国 主にオーストラリア
禁忌事項:長期間の継続使用、肌の敏感な部分において刺激を感じる場合があるので注意すること

スーッとしたさわやかな香りがおなじみのティートリー。フレッシュでツンとした鋭さがありますが、ユーカリやローズマリーよりはやわらかい香りです。男性にも好まれる、男性用化粧品の香りアイテムにも多いすっきりとした香りです。

抗菌や抗ウィルス効果のある精油と言えば、先ずはコレ! と言っても過言ではありません。真菌=カビ、細菌、ウィルスと言った、病気の原因となるあらゆる病原菌に対して全般的に効力を持っているといわれる精油です。これは、ティートリーの特徴です。

アロマの歴史において、第二世界大戦中に皮膚の傷の手当てとして、軍の救急用具にこの精油が加えられたというエピソードがあります。外科、歯科用、デオドラント、殺菌消毒剤、石鹸、エアフレッシュナーとしてなど、あらゆる目的として使われていたそうです。

医療現場でアロマテラピーが行われるフランスでは、昔、重傷で薬を内服できない患者にティートリーでオイルトリートメントをすることで皮膚からティートリーを経皮吸収させて、手術後の感染症予防を行ったという事例もあるそうです。

これらの昔のエピソードを踏まえると、現代生活においても、ディフューザー、エアフレッシュナー、うがい、手洗い(石鹸にブレンド)での使用が役立つことが想像できると思います。

免疫細胞を増やしてを免疫力を高めてくれる効果もあることから、風邪の引き始めや治りかけに、お風呂に3滴程度入れて蒸気吸入する使い方もおすすめです。お風呂は、肌刺激が少しあるので、重曹やバスソルトと一緒に使うほうが肌に良いでしょう。


書籍では小さな子供にも使用できる精油として紹介されていますが、分子が小さいこともあり皮膚刺激を感じる場合があります。また、長期間だらだらと使用することは注意するべき精油なので、ローテーションを心がけてください。

 

■ラヴィンサラ

ラヴィンサラ

ラヴィンサラ


学名 Cinnamomun camphora
科名 クスノキ科
精油を抽出する部分 葉
精油の抽出方法 水蒸気蒸留法
原産国 マダガスカル産など
禁忌事項:なし

こちらを購入するときは、学名を必ずチェックしてください。ラベンサラは学名「Ravensara anisata」として販売されている精油が存在します。こちら成分が異なりますので、「ラベンサラ」を「ラヴィンサラ、ラバンサラ」と表記して「ラベンサラ」と混同しないように注意されてきました。最近では精油として馴染み深くなったため、学名「Cinnamomun camphora」を確認してください。

ローズマリーやユーカリのようなすっとした香りが特徴ですが、これらの精油よりもとげのないやわらかいスーッとした香りなので初心者にも使いやすいのが特徴です。禁忌事項も無く、人を選ばない精油です。

咳や痰など、呼吸器系のトラブルを引き起こす感染症のケアや予防に役立ちます。吸入やマスクにも、ユーカリやローズマリーよりも刺激が少ないので初心者の方にも使いやすい精油です。スーッとした香りの精油はディフューザーや咳などのケアに向いています。

■ペパーミント

ペパーミント

ペパーミント


学名 Menta piperita
科名 シソ科
精油を抽出する部分 葉と花の咲いた先端部分
精油の抽出方法 水蒸気蒸留法
原産国 主にヨーロッパ
禁忌事項:刺激も強く少量で効果がある精油なので大量使用しないように気を付けること、皮膚と粘膜の刺激(うがいや目の周りは特に注意)、妊娠中の使用、授乳中は母乳の出をさまたげてしまう可能性があり(ただし、乳腺炎などのケアには役立ちます)、ホメオパシーのレメディを解毒してしまう可能性あり

禁忌事項として、妊娠4ヶ月までの方と、うがいには使わないことが注意点です。小さな子どもや体調が弱っている方、老人などにも刺激になることがあるので注意してください。少量で、効果を発揮してくれる精油なので、これら注意の必要な方に使う場合は、滴数に注意しましょう。

ペパーミントは、シソ科の植物の中で「ばい菌」を抑える力がとても強い精油になります。シソ科は食したり、ハーブティーなどで飲用できる植物なので、特徴として、胃や腸などの「消化器」に馴染みのある植物であることが想像できると思います。よって、「嘔吐下痢」などおなかの風邪予防に私は役立てています。乗り物酔いやむかつき、吐き気などにもとても役立ちます。

抗菌ジェルのブレンドに加えることで、寒い季節に流行する「嘔吐下痢の風邪予防」のアイテムとして愛用しています。嘔吐物を洗濯するときに、洗剤と一緒にペパーミントを5滴ほど垂らして洗濯をして衣類を消毒したり、重曹やクエン酸水に数滴垂らしてトイレ掃除に使ったり、ふきんやぞうきんを洗う時に、洗い桶などに3滴~5滴垂らして洗い拭き掃除をすることで、嘔吐下痢の風邪予防やケアとして役立てています。ノロウィルスについては、細胞壁をもたないウィルスであることから、アロマオイル(精油)の効果は期待できないと言われていますが、胃腸系のトラブルを起こす感染症予防は基本的に「清潔にすること」が一番大切だと考えているので、ペパーミントの強い殺菌力を持つ力を、活用して役立てています。

■レモン

レモン

レモン


学名 Citrus limon
科名 ミカン科
精油を抽出する部分 果皮
精油の抽出方法 圧搾法
原産国 主にインド、南ヨーロッパ、フロリダ、カリフォルニアなど
禁忌事項:皮膚刺激があること、光感作用があるので精油を塗布したところは太陽の光に当たらないように気を付けること(シミの原因になります)

柑橘系の精油の中で1番「ばい菌」を抑える力が強いのがレモンです。ペパーミントと同じく柑橘系の植物も食べることができるものなので、胃や腸などの「消化器」に馴染みのある精油です。よって、ペパーミントと同様、「嘔吐下痢」などの感染症のケアや予防に役立ちます。

光感作用があるため、皮膚に触れた場合は手を洗うこと。また、日焼けによるシミの原因となる成分を除去しているタイプの精油もメーカーによっては販売されているので、そちらを使用するのも1つ方法です。

私は、レモンは精油よりも現物で活用することが多いです。基本的には、無農薬レモンを使うべきですが、なかなか手にも入りませんし、高価です。レモンの農薬は果皮の表面についているので、よく拭き取ります。最近はメイヤーレモンといって農薬を使用していないレモンで皮ごと食べられるものもあるので助かっています。レモンの果皮を細かく刻んでバターで炒めてホットケーキの種に混ぜたり、お弁当の殺菌に、レモンをひと切れ入れて果皮に含まれている精油の効果を活用しています。

レモンピール入りのお菓子を選んだり、ハーブティーや紅茶を楽しむのも予防に役立っていると感じています。料理によっては、レモン風味が合わないものもあると思いますので、ご家庭で判断し楽しんでください。


 

 

■ローズウッド

ローズウッド

ローズウッド


学名 Aniba rosaeodora
科名 クスノキ科
精油を抽出する部分 木部
精油の抽出方法 水蒸気蒸留法
原産国 主にブラジル(熱帯雨林気候)
禁忌事項:なし

この精油は、禁忌事項が無く人を選ばずに使えるとても便利な精油です。名前の通りで「バラのような香りがする木」の木部をチップ状にして水蒸気蒸留して抽出する精油で、もともとは「香料」として重宝されていました。バラのような芳しい香りは香料としてとても重宝されていたので様々な薬理効果があるにも関わらず、アロマテラピー用として使われるようになるまで時間がかかったと言われています。

この香りが、バラのようであるにも関わらずどこかすっきりとしていているので、人を選ばず好まれる傾向が強いと思います。デオドラント効果に優れているので、ディフューザーで香らせる場合でもブレンドに加えることで「悪臭」の原因となる香りの分子を包んで抑えてくれる働きをする効果を持っています。

昔から、のどの消毒剤としてうがいに使われていたり、頭痛や気分の抑うつに効果があると言われている精油です。微生物やウィルスが原因となる病原菌に効果があると言われており、新型インフルエンザが流行した際も、注目された精油の1つです。

私は、首から上のトラブルにこれがとても効果があると恩師に教えて頂きました。のどの痛み、頭痛、気分の抑うつなどすべて「首から上」に関係するトラブルなので、植物の特徴として、ローズウッドは「首から上のトラブルに役立つ」ことを、自分が学んだ通りに受講生にもお伝えしています。

■ラベンダー

ラベンダー

ラベンダー


学名 Lavandula officinalis
科名 シソ科
精油を抽出する部分 花の咲いた先端部分の花、葉、茎
精油の抽出方法 水蒸気蒸留法
原産国 主にフランス、イギリスなどヨーロッパ地域
禁忌事項:低血圧の人、妊娠初期の妊婦、車の運転の直前使用

リラックス効果がある精油の代名詞と言っても過言ではないラベンダーは、昔から「薬用」としてとても意味がある植物であると語り継がれてきた意味を持っています。学名の「officinalis」には「薬用」という意味が込められており、こういった点からも様々な薬理効果を持つ植物であることが想像できます。

皮膚にも心にも様々な効果効能を持っていますが、全般的に素晴らしい効果があり、全体のバランスをとる役目を持っている万能な精油です。歴史的背景として、ローマ人はラベンダーの消毒作用の素晴らしさを知っていて、ラベンダーを浴槽に入れて傷を洗ってケアをしていたと言われています。また、昔のヨーロッパでは疫病が流行した時代に、ラベンダー畑の作業を仕事としていた人は感染を免れた病気もあったと言われており、ドライラベンダーを玄関に飾るような使い方は、病原菌が家に入ってこないようにする意味を持つ使い方だったと考えられます。

私流のおすすめの使い方としては、感染症予防の観点において、感染症を発病してしまってから用いるというよりも、予防の段階で日々ディフューザーなどで使うような方法が効果を発揮する精油だと考えます。

この精油は、精油のあらゆるブレンドのバランスをとることで、そのブレンドの効果のバランスもとってくれるような使い方が出来ます。デオドラント効果にも優れているので、ローズウッドど同じように悪臭の原因となる分子を抑えてくれます。

咳など、呼吸器系のトラブルにも役立つので、ユーカリなどのより効果が強い精油と併せて使用することで、ユーカリの持つ刺激を中和して、咳のケアに役立たせるような使い方がガイド流です。

【参考文献】
『増改補訂 アロマテラピー事典』 著:パトリシア・デーヴィス 訳:高林林太郎 フレグランスジャーナル社刊 2004年、『アロマテラピーのための84の精油』 著:ワンダーセラー 訳:高林林太郎 フレグランスジャーナル社刊 2004年、『スピリットとアロマテラピー』 著:ガブリエル・モージェイ 訳:前田久仁子 フレグランスジャーナル社刊 2000年第1版第1刷発行、2008年第9刷発行

 

おわりに

感染症の予防ケアなど、精油のメディカルな使用方法において心配な点がある方は、必ず身近なアロマテラピーの専門家や主治医の方に相談をして、疑問を解決してから使用するようにしてください。

参考までに、オールアバウトの記事で、精油をローテーションして使用する使い方をリンクで紹介しています。こちらは私自身が受講生におすすめしている独自の使い方ですが、精油の物質的特徴と、体での代謝メカニズムに基づいて心がけている使い方ですので、より安全に使用されたい方は、リンクを参照してください。




 

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